2012群馬県立館林美術館
群馬県立館林美術館にて開催された森亮太展の図録。
過去に製作されたしっかりした作品集も同時に販売されるという事で、
掲載作品を減らし16ページで新聞のように薄くしました。
展覧会の副題は「石の鼓動」。
手作業で極限まで滑らかに、繊細に磨かれた石の表面を見ると、
たしかにその作品のなかで魂が生きている気がします。
作家が亡くなって20年、
なにかのご縁でカメラマンの熊谷順さんと僕が彼の作品に対峙した結果。
自然光がきれいに入る美術館の会議室での静かな撮影。
照明を当てれば見えない部分もつまびらかにできるのだけれど、
唯一変わる事の無い光でそのものをとらえたいと思ったんだ。
絶対的な光源で本質に迫りたいという気持ちと、
時間や場所を越えて作家の目に映った同じ光でそれを見てみたいという欲求。
単なる作品の複写ではなくて、魂を平面に映す作業だったのね…
な~んて作業中そんなに引いた目で見る余裕はなかったけど。
写植を打って、モンセンから書体を選び、撮影したポラでアタリをとる。
ただ工程がデジタルになっただけで
20年前から何も変わらない作業に没頭できました。
この仕事の場を与えていただいた美術館の方と関係者の方に感謝をしています。
印刷物のカラー写真は墨版を使わずに3色で表現、
モノクロ写真は墨と補色の2色という事に。
担当していただいた編集者の方の提案でFMスクリーンにしたところ、
インクの色が違って見えるほど彩度が上がった。
目指したちょっと不思議な色に仕上がっていると思う。